海外投資家も注目する資本効率へのストイックな姿勢

同社に死角はないのでしょうか。まずは強みから俯瞰していきましょう。

外国法人等株式保有比率41.37%(2025年12月末時点)――。この数字は海外の機関投資家がナブテスコを一定程度評価していることを示す指標の1つといえ、海外投資家からの厚い支持がうかがえます。ではなぜ支持を得ているのか、バリュエーションの面からも見ていきましょう。

時価総額は約6,146億円、PER(株価収益率)は約27.8倍、PBR(株価純資産倍率)は約2.2倍(2026年4月30日終値)となっています。PBRは1倍を明確に上回っており、同社の持つ技術力といった無形資産が市場から評価されている証左といえるでしょう。

その評価は同社の資本効率へのストイックな姿勢が伝わることでますます加速するかもしれません。新中期経営計画(2025〜2027年)では、利益改善計画「Project 10」を推進し、最重要の管理指標として2027年度にROIC(投下資本利益率)10%以上を目標に掲げています。

また、手厚い株主還元策も大きな特徴です。資本コストを意識した経営のもと、DOE(株主資本配当率)3.5%を目安とした安定配当と機動的な自社株買いを行う方針を明確にしています。

財務面の健全性についても、自己資本比率58.6%と財務基盤は安定しており、営業キャッシュフローも継続的に創出しています。一方で、投資判断には光と影の両面を直視することが不可欠です。以下のような課題にも注目しておく必要があります。

まず、事業環境には注視したいところです。新興メーカーの台頭と価格圧力は、同社に限らず企業を取り巻く継続的課題といえます。中国メーカーの品質向上による浸食はじわじわと進んでいます。また、顧客(ロボットメーカー)が供給網安定化のために中国製をセカンドソースとして採用するマルチソーシング化が進めば、ナブテスコへの「価格引き下げ圧力」が強まり、利益率が削られる懸念もあります。

なお、景気循環にも着目しておくべきでしょう。精密減速機事業は産業用ロボットの設備投資サイクルに大きく連動するため、ボラティリティ(業績の変動)が高く、需要の波に翻弄されやすいという構造的な課題があります。

フィジカルAI時代の「実行機能」として真価が問われる局面へ

独自のモーションコントロール技術で世界のインフラと自動化を支える高い市場シェアを維持しているナブテスコ。創出したキャッシュをスマートモーションコントロールなどへの成長投資と株主還元に振り向け、ROIC10%超を柱とする高収益体質への転換を推進しています。この先、AIが現実空間でのタスクを担う「フィジカルAI」の実装が進む変革期にその真価が問われています。