娘のためと言えば許されるのか

「……ふざけないで!」

佐都子は思わず大声を出していた。

「あなたに親としてなんて言われたくないわ! 私の気も知らないで!」

「……な、なんでそんな怒ってるんだよ? 俺は美亜のために買ってきたんだぞ?」

「美亜のためって言えば何でも許されるとでも思ってるの⁉ そうやって自分勝手なことばかりして!」

佐都子が怒鳴りつけると、目を覚ました美亜が泣き出した。実はまるで当てつけのようにすぐに美亜を抱きかかえた。

「ほら、美亜が泣いちゃっただろ。そんな大声を出すなよ」

こんなときばかり子どもの側に立つ実にも怒りを覚えた。

「いつも夜泣きしてるときは無視してるくせに……!」

「何を言ってるんだよ……? なんでそんな怒ってるんだ……?」

戸惑う実の態度もかんに障った。

「そのひな飾りは今すぐ店に戻してきて……!」

「そんなことできるわけないだろ? せっかく買ってきたのに」

絶叫する美亜の泣き声が充満する家のなかで、佐都子はもう体に力が入らず、その場に座り込んだ。

●育児に追われながらも誰にも弱音を吐けない佐都子。無断で20万円のひな飾りを買ってきた夫・実に怒りを爆発させてしまった。限界を迎えた佐都子が、意を決してとった行動とは…… 後編【20万円のひな飾りを無断で買った夫に妻の怒りが爆発…義母が問う「家族を守るとはどういうことか」】にて、詳細をお伝えします。

※複数の事例から着想を得たフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。