育児は他人事の夫
ある日、佐都子がいつものように美亜が眠った隙を見計らって夕飯の準備をしていると、実から飲み会に行ってくるという連絡が入る。
育児や家事に追われているこっちの気も知らずに遊び歩く実の態度に、佐都子は怒りを覚えずにいられなかった。自分ばかりが負担を背負っていると感じていた。もちろん実も毎日仕事をして頑張ってくれているのは分かっているのだが、あまりにも自分勝手が過ぎるだろう。
実は仕事をしてない時間は自分の時間だと思っている節がある。それを否定することはないが、だったら佐都子だって自分の時間がほしい。美亜を産んでから佐都子には自分の時間というものが一瞬だってないのだ。美亜が生まれる前は月1で通っていた美容院やネイルサロンにも今は全く行けていない。
体力だけではない。精神的にも限界だった。どうして自分ばかりがこんな思いをしないといけないのだと大声を出したくなった。
誰かに話を聞いてほしくて、佐都子はスマホを握った。しかし一番頼るべき両親と佐都子は関係性が良くない。身内で一番仲が良いのは義母の里英だったが、いくらなんでも息子の愚痴は話しづらかった。
だから結局、佐都子は胸の内のモヤモヤを抱えたまま、夕飯の準備を続けるしかなかった。
