美香の説得が実を結び…

「多分、幸次は勘違いをしてると思う。今の家事代行サービスって値段は良心的にしてくれてるんだよ? この会社は2時間で6,000円でやってくれるの。おかずとかは作り置きしてもらって、掃除は週に1回やれば十分だろうし、幸次が想像してるようなお金はかからないよ」

美香は自分で調べた家事代行サービスのサイトを見せた。こわばっていた幸次の表情は、サイトを見ているうちに和らいでいった。

「本当だ……。こんなに安くやってくれるんだ」

「もちろんそれを毎日やってたら金銭的に大変だと思うよ。でもさ本当にピンポイントでお願いをするってだけでも全然違ってくると思う。別に料理くらいは今まで通り買ったり出前でいいからさ、大変な水回りの掃除とかそういうのをやってもらえば私としては本当に大助かりなの」

それを聞き、幸次はうなずく。

「……わかったよ。そんなに言うなら試しに使ってみるか」

幸次が納得してくれたことに安堵して、美香は息をついた。

「なんかさ、お互い会話が昔よりも減ってるよね……。忙しかったのもあるけどお互いに一緒にいるのが長くなって分かってるだろって思って大切なことを言わなくなってるような気がする」

「……そうかもしれないな。なんか余計なことは言わないようにしちゃってたところもある。何なら気付いてくれよくらいに思ってたかも……」

今回の家事代行を巡る諍いをきっかけに、美香たちはお互いに夫婦間の問題に気付いていた。

「これからはもっと時間を作って話をするようにしようよ。お互いに取るに足らないと思うようなことでもやっぱり言葉にして伝えた方が良いと思う。そうじゃないとどんどん距離が生まれるだけだから」