お年玉で買い物

翌日、3人で近くのショッピングモールを訪れていた。海斗は一目散に目的のゲームコーナーへと向かっていく。

「ちょっと私お手洗いに行ってくるから海斗の様子を見といて。余計なものを買わないかしっかり見ておいてよ」

海斗にはお年玉の使える上限である1万円を渡していた。ゲームを買った分のおつりは好きに使っていいことになってるのだが、無駄遣いをしかねないので監視が必要だった。

「ああ、分かったよ」

「あなたがお金を足してゲームをもう1つ買わせるなんてことも絶対にダメだから」

昨年、道徳がやったことを再度させないように釘を刺しておく。

「……分かってるよ。もうしないって」

道徳は昔から海斗に甘いところがある。甘やかしてばかりでは海斗のためにならないと昨年もお灸を据えていた。

雅世は2人と別れてお手洗いに行き、ついでに海斗から預かったお年玉を海斗の口座に預けておこうとATMに向かった。

しかしATMで預け入れの操作を終えた雅世は明細を見て、思っていたよりも額が少ないことに気がついた。

「……あれ? こんなものだったっけ?」

記憶では、確か昨年、預金額がぴったり50万になるように数千円を足して預けたはずだ。しかし、今すぐに確かめる術がなかったので、雅世は疑問を抱えたまま道徳たちの元へと戻るしかなかった。

   ◇

正月休みが明けて少しずつ街や生活が日常へ戻り始めた頃、雅世は昼休みに銀行を訪れて通帳記帳を行った。すると、あの日ATMで抱いた違和感の通り、半年ほど前に13万円が引き落とされていたことが分かった。

犯人は分かっている。自分でなければ他に考えられるのは1人しかいない。

●息子の海斗のお年玉は将来のために貯金に回してきた雅世。しかし銀行で確認すると、13万円が引き落とされていることが判明。疑わしい人物は1人だけだ…… 後編【「驚かせたかったんだよ」小4息子のお年玉13万円を無断で引き出した夫…妻の叱責で気づいた「子どもとの約束の重み」】にて、詳細をお伝えします。

※複数の事例から着想を得たフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。