相続財産「株式、投資信託」どうする?
さまざまな相続対策について、人々は何を重視しているのか。それには「すでに実施している」「実施する予定がある」「興味がある」という回答の合計をみると分かりやすいだろう。結果をランキング化すると以下のとおりとなった。
相続対策の実施状況ランキング※
1位 株式や投資信託を売却し現金化 50.8%
2位 株式や投資信託の購入を見合わせ 43.4 %
3位 生命保険を契約 38.7%
4位 株式や投資信託を売却し他資産を購入 36.6 %
5位 教育資金贈与制度を活用 28.2 %
6位 結婚・子育て資金贈与制度を活用 27.3%
7位 住宅取得資金を贈与 25.6%
8位 不動産を購入 24.4%
※「すでに実施している」「実施する予定がある」「興味がある」回答の合計
出所:個人投資家の証券投資に関する意識調査報告書」(日本証券業協会)よりFinasee編集部作成
ランキング結果を見ると、最も多いのは「株式や投資信託を売却し現金化」(50.8%)であり、半数を超えている。次いで「株式や投資信託の購入を見合わせ」が43.4%、「生命保険を契約」が38.7%と続く。
つまり相続対策としては金融商品の売却あるいは新規購入をやめるといった資産管理が中心となっている。特に株式や投資信託といった金融資産を現金化する動きに注目が集まっているのは、相続税の支払いに向けた準備や、複数の相続人がいる場合の分割のしやすさなどを考慮してのことだろう。
年代別にみると、株式や投資信託を売却し現金化する対策は65~69歳では50.9%、70代以上では50.1%と高い関心を示している。60~64歳では47.0%とやや低くなるが、それでも半数近くに当てはまる。
調査結果から見えてくるのは、実際に行っている対策と興味がある対策の違いだ。既に行っている相続対策は生命保険の契約が最も多いものの、興味を持っている対策にまで視野を広げると、株式や投資信託の売却による現金化に最も高い関心が集まっているのが実態だ。
全体的には相続対策をすでに実施しているという声は少なく、興味がある段階にとどまっている。この点に潜在的な需要の高さが表れている。相続対策の選択肢が多様化する中、各自の状況に合わせた適切な対策を選ぶことが大切だ。
●相続財産に有価証券がある場合は? 後編「投資信託&株式の相続問題…「税制優遇はどうなる?」2700人の希望はかなうか」で詳報している。
調査概要 調査名:「個人投資家の証券投資に関する意識調査」 調査主体:日本証券業協会 調査報告書公表:2025年9月 調査実施期間:2025年4月15日~19日 調査対象:日本全国の 18 歳以上の有価証券保有者 5000 人
