「大きな資金がなくても始められる」が最多

世間の人はどの程度、資産運用をしているのか気になるという人もいるだろう。個人投資家5000人を対象にした調査「個人投資家の証券投資に関する意識調査報告書」(日本証券業協会、2025年9月公表)を参考にしてはいかがだろうか。金融資産の運用やNISAの利用、さらに年収や保有資産額などを聞いた同調査では、NISAを始めた人に投資へのイメージの変化について聞いている。

結果によると、NISA口座開設者の35.1%が「大きな資金がなくても、少額から投資が始められることが分かった」と回答し、最も多い変化として挙げられた。NISA制度が少額からの投資を促進する目的で作られていることを考えると政策的な狙いが浸透しつつあることが表れている。

NISA口座開設による有価証券投資イメージの変化(複数回答)

NISA口座開設による有価証券投資イメージの変化を表した図表
 
出所:「個人投資家の証券投資に関する意識調査報告書」(日本証券業協会)
 

次いで「長期投資や分散投資を意識するようになった」(26.3%)、「投資が身近に感じられ、投資へのハードルが下がった」(23.6%)、「預貯金だけではなく、投資を通じた資産形成の必要性を感じるようになった」(23.2%)と続いている。

このように、NISA口座の開設が単なる税制優遇を受けるための手段としてだけでなく、投資に対する意識そのものや行動の変化にもつながっていることが分かる。

一方で、「特に変化はない」という回答は30.9%。約3割はNISA口座を開設しても投資に対するイメージに変化がなかったようだ。既に投資経験が豊富な人がNISAを利用しているケースや、口座開設はしたものの実際にはまだ投資していないケースなどが考えられる。

年代別では、若い世代ほどNISA口座開設による投資イメージの変化が顕著だ。30代以下では「大きな資金がなくても、少額から投資が始められることが分かった」という回答が46.3%と半数近くを占め、全体平均(35.1%)を大きく上回っている。