NISA口座の株式、投資信託…相続税は?
2025年9月に公表された日本証券業協会の「個人投資家の証券投資に関する意識調査報告書」では、5000人の個人投資家に金融資産の状況から相続まで幅広く質問している。特に興味深い点が投資信託と株式の相続に関する分析結果だ。
調査では60歳以上の株式・投資信託保有者に、これらを相続財産とする場合にどのような制度が望ましいかを尋ねている。結果を見ると、さまざまな優遇措置を求める声が多く寄せられた。
最も支持されたのは「NISA口座で持っている株式や投資信託の相続税を非課税にしてほしい」という意見で、34.4%を占めた。実はこの選択肢は今回の調査から新たに追加されたものだが、早くも最も高い支持を集める結果となっている。
株式・投資信託を相続財産とする場合の望ましい措置(複数回答)
※60歳以上の株式・投資信託保有者
注:前回調査まで相続財産は「株式」だけであったが、今回調査から「株式や投資信託」に変更し、調査対象に60 歳以上の投信保有者を追加などの修正を行った。また、「NISA 口座に保有している等の一定の株式や投資信託については相続税を非課税にしてほしい」項目を追加。そのため、時系列比較は参考値となる。
次に支持されたのは「株式や投資信託の相続税評価額は時価が原則なので、割り引いてほしい」(27.0%)。2024年の前回調査時と同程度だった。3番目に多かったのは「せっかくの株式や投資信託を相続人に保有し続けてほしいので、相続人が継続保有した場合の優遇措置を設けてほしい」という意見で、26.4%の支持を集めた。
また、「相続発生から、相続税の申告・納付までの間に値下がりするリスクがあるから、値下がりした時は救済措置を設けてほしい」という意見も23.1%と、前回・前々回の調査と同程度の割合で一定の支持を得ている。
一方で「特に必要な措置はない」という答えは前回の39.3%から今回は28.6%へと大きく減少している。NISAに関する新たな選択肢が設けられたことも影響していそうだが、投資家の間で相続税対策への関心が高まっている可能性もある。

