エナジー・IT好調で見通しを上方修正 為替は保守的
最後に足元の業績です。冒頭のとおり、上場来高値の更新のきっかけとなった今期(26年3月期)の中間決算を解説します。
今期の上期累計の業績は、調整後営業利益で前年同期比25.5%増となりました。第1四半期の同6.8%増から大きく伸びており、投資家に好感されたことが株価の上昇につながったと考えられます。送配電設備の更新や再生可能エネルギーへの接続需要が引き続き好調だったほか、国内ITもDX化やシステム刷新の需要が強く、増益を主導しました。
通期の見通しも上方修正されました。期首予想比で売上収益は2000億円、調整後営業利益は980億円、純利益は400億円の引き上げです。戦略投資の増額を見込むものの、業績の拡大でカバーするほか、トランプ関税影響の緩和を織り込みました。
【日立製作所の業績予想(26年3月期)】
・売上収益:10兆3000億円(+5.3%)
・調整後営業利益:1兆1030億円(+13.5%)
・調整後EBITA:1兆2100億円(+11.7%)
・純利益:7500億円(+21.8%)
※()は前期比
※調整後営業利益…売上収益から売上原価および販管費を減算したもの
※調整後EBITA…調整後営業利益に買収に伴う無形資産等の償却費を足し戻したもの
※同第2四半期時点における同社の予想
出所:日立製作所 決算短信
なお、上記の見通しは為替の前提がやや保守的です。対米ドルで145円の想定で、足元の155.5円前後より10円以上の円高水準で算出されています(25年11月19日17時)。日立製作所によると、1円の円安は調整後EBITAを8億円押し上げるとしています。円安が続けば、業績のさらなる上振れもあるでしょう。第3四半期決算は26年1月下旬~2月初旬に公表される予定です。