重電とITのハイブリッド企業 エヌビディアとの協業でAI強化

日立製作所は大手の総合電機メーカーです。総合電機は、三菱電機や富士電機のような重電系、日本電気(NEC)や富士通のようなIT系に大きく分かれますが、日立製作所はその双方に強みがあります。

重電型の主力が送配電事業です。市場シェアは高く、変圧器や開閉装置といった各種機器およびサービスで世界首位に位置します。特に高圧直流送電システムは、既設ベースでシェア50%超と、圧倒的な優位性を持ちます。

ITは金融機関や公官庁、交通や通信といったインフラ向けが中心です。システムの開発や保守といったサービスを、関連機器も含め包括的に提供します。

近年は24年3月に開始した米エヌビディアとの協業が話題です。同社の製品や技術を活用し、同年9月に鉄道向けAIシステム「エイチマックス」を開発しました。エイチマックスは鉄道以外の産業向けにも応用が進んでいます。25年6月には、エヌビディア主導のAIシステム開発プログラムに日系企業として初めて参画しました。

【セグメント情報(25年3月期、26年3月期のセグメント変更後)】

日立製作所のセグメント情報(25年3月期、26年3月期のセグメント変更後)
 

※DSS…デジタルシステム&サービス、CI…コネクティブインダストリーズ
※従来のGEM(グリーンエナジー&モビリティ)はエナジーとモビリティに分割、日立パワーソリューションズはCIに移管
※調整後EBITA…調整後営業利益(売上収益-売上原価-販管費)に買収に伴う無形資産等の償却費を足し戻したもの

出所:日立製作所 決算説明会資料
 

業績はおおむね良好です。日立製作所はリーマンショック時に巨額損失を計上して以来、構造改革に取り組んできました。事業の切り離しなどの影響から売り上げは停滞傾向ですが、利益は改善が進んでいます。

日立製作所の業績(2016年3月期~2025年3月期)
 
出所:日立製作所 決算短信より著者作成