第3の事業が立ち上がり 「サービスソリューション」への昇華に前進
マクニカホールディングスが第3の事業として注力するのがCPSソリューションです。CPSは「サイバーフィジカル・システム(Cyber-Physical System)」の略で、現実の多様なデータをAIといったサイバー技術で分析・知識化するサービスを指します。マクニカホールディングスは5つの領域を事業範囲と定め、サービスの提供を通じて収益化を図っています。
【CPSソリューションの5領域】
・スマートシティ&モビリティ:自動車メーカー、MaaS(※)
・スマートマニュファクチャリング:製造業
・ヘルスケア:医療、介護、予防サービス
・サーキュラーエコノミー:脱炭素化、高度循環型社会
・フード・アグリテック:農業などの一次産業、食品
※MaaS(Mobility as a Service)…サービスとしての移動体または移動能力。公共交通機関といった移動サービスを一元的に提供するサービス
出所:マクニカホールディングス 統合報告書
特に注力するのが「スマートシティ&モビリティ」です。自治体に自動運転EVバスの導入を支援し、全国で6カ所の定常運転を手掛けています。子会社には自動運転EVバスのメーカーを持ち、世界で280台以上を販売してきました。ドライバーの担い手不足が問題化するなか、実証試験は全国50カ所で実施しており、事業の成長が期待されます。
また「スマートマニュファクチュアリング」も事業化が進んでいます。自社開発した製造業向けDX支援ツール「DSFサイクロン」を拡販しており、日用品・医薬品のクラシエや、ソフトクリームの日世(ニッセイ)などで導入されています。
マクニカホールディングスは、従来の卸売り主体のビジネスモデルから、サービスソリューション企業へと変革を図っており、CPSソリューションはその将来事業としての位置づけです。足元は赤字ですが、売り上げは急伸しており、25年3月期までの3年間では年平均32.5%で成長しました。
CPSソリューションは自社サービスが拡大しており、他の事業より高い利益率が期待されます。今後も売り上げを伸ばし、28年3月期に40億円の営業黒字の創出を目指します。
【営業利益の目標(~28年3月期)】
・連結:800億円(営業利益率:5.7%)
・うち半導体:520億円(同4.6%)
・うちサイバーセキュリティ:240億円(同10.4%)
・うちCPSソリューション:40億円(同13.3%)
出所:マクニカホールディングス 決算説明会資料