マッチング拠出が導入されたらiDeCoはどうする?
iDeCoの変更に先立ち、企業型DCのマッチング拠出の上限金額の見直しが行われます。
従来、マッチング拠出による本人掛金は事業主掛金以下という制限がありましたが、2026年4月以降はこの制限が撤廃されます。この法改正を契機に、マッチング拠出を実施していなかった企業型DCの実施事業所でマッチング拠出導入に踏み切るところも出てきています。
その際、よく聞かれる質問が次の2点です。
①現時点でiDeCoの加入者になっている人はどうしたらよいのか?
②iDeCoの資産は、企業型DCに移換しなければならないのか?
まず①ですが、iDeCoへの加入を続けることが可能です。本人拠出は企業型DCのマッチング拠出とiDeCoの掛金の二者択一ですので、どちらか片方を選べばよいことになります。従来は若年層など事業主掛金が低額の方はiDeCoのほうがより多くの掛金を拠出できていましたが、2026年4月から12月までの間はマッチング拠出のほうがより多く拠出できる人が増えます。
また、企業型DCのほとんどで管理手数料が事業主負担です。iDeCoは掛金拠出のある月は掛金から171円が差し引かれて運用されるため、毎月拠出の場合は年間2,052円の本人負担となります※。
また、企業型DCのマッチング拠出の場合、自己都合休職や育児・介護休業の場合に事業主掛金が拠出停止になる規約が多いため、マッチング拠出も停止されることになります。一方、iDeCoの場合は、ご自身で拠出停止の手続きを行う必要があります。
※手数料は野村のiDeCoの場合。金額は金融機関によって異なる
②については、ケースバイケースです。
それまでに形成されたiDeCoの資産は、企業型DCに移換することも、そのままiDeCoに置いておくことも可能です。iDeCo口座を残しておく場合、手数料として年間792円(※同上)がかかります。月々で考えると61円なので金額としては大きくありませんが、積み重なればそれなりの金額になります。
そのためiDeCo口座を残しておくかどうかを考えるには、次のような点から検討しましょう。
【転職が多い人】
<考え方>転職先に企業型DCがない場合も想定されるため、退職時の企業型DCの資産を移換する先としてiDeCo口座を残しておく。iDeCoから企業型DCに資産移換するとiDeCoの口座がなくなるため、あらためてiDeCoに加入する際は都度2,829円の手数料がかかる。
【60歳以降もDC制度の活用を考えたい人】
<考え方>企業型DCの資格喪失年齢が60歳の事業所にお勤めで、60歳以降も仕事を続ける場合、iDeCoに掛金拠出することで所得税・住民税の優遇効果を得られる。
【60歳到達時の勤続年数が20年前後の人】
<考え方>iDeCoの掛金拠出期間は退職所得控除の「勤続年数」として数えることが可能。現在の税法では、勤続20年までは1年あたり40万円、21年以降は1年あたり70万円になるため、一時金でDC資産を受け取る際に税優遇が大きくなる。
今回の改正により、iDeCoも企業型DCも拠出限度額が大きくなります。その結果、従来、あまり考える必要のなかったことが意識されるようになります。代表例はDCを一時金で受け取る際の税金です。これまでは、一時金で受け取る際は退職所得控除の範囲内の方が大多数でした。また、将来的には退職所得控除枠が減額される可能性もあり、一時金受取時の税が増えることもあり得ます。しかし、現役時代の税優遇メリットは大きいのでDC制度を有効に活用することを考えましょう。

 
           
          
 
               
             
             
             
             
             
         
         
         
        
 
             
             
             
             
             
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