トヨタの現状をタテとヨコで分析

企業分析にしてもこれは同じです。その企業を理解するためには、タテとヨコの双方を理解しなければなりません。ここで言う「タテ」とは、これまで企業が積み上げてきた歴史、ヨコは現在や未来の外部環境や競合の状況が当てはまります。

例えば、トヨタ自動車を取り上げてみましょう。「タテ」を見るなら、豊田自動織機から生まれ、「ジャスト・イン・タイム」や「かんばん方式」に代表される「トヨタ生産方式」を確立させながら、やがて世界一の自動車メーカーへと成長していきました。プリウスが爆発的なヒットとなり、環境分野でも一歩先を行っていると見られていました。「タテ」だけ見れば、トヨタの今後は盤石のようにも見えます。

ところが、急速な電池技術の発達により、環境対応車として電気自動車(EV)が登場し始めます。その代表格がテスラです。テスラは、電気自動車・自動運転・ソフトウェアの自動アップデートなど、自動車業界にとって革新的な技術を打ち出し、あっという間に時価総額でトヨタを抜き去って行きました。テスラの躍進の背景には、当然インフラとしてのインターネットの発達やスマートフォンの普及があったことは言うまでもありません。

最近では街中でも当たり前にテスラの車が走っているのを見るようになりました。はたしてこれからの世界ではなおトヨタが横綱としての強みを発揮するのか、はたまたテスラがそのスピード感により一気に席巻してしまうのか。トヨタから見れば、まさにタテとヨコの衝突が最も激しくなっているのが現在と言うことができます。

どちらが勝つかということは、普段からたくさんの企業分析をしている私でも予測は難しいことです。未来のことはどこまでも不確実で、確実なことなど何もありません。