「車内空間」と「トヨタ以外」を拡大 売上目標2.2兆円

続いて事業の方向性を押さえましょう。

トヨタ紡織は「インテリアスペースクリエイター」になることを目指しています。部品を個別に供給する従来のビジネスモデルから発展し、車内空間の全体を開発する戦略です。完成車メーカーへ自ら提案できる能力を身に着けることで、競争力の獲得を狙います。

インテリアスペースクリエイターへの発展を目指し、新領域にも進出します。シートといった既存のハードウェアにとどまらず、車載ソフトウェアや車内システムの内製化を目指します。また、マルチパスウェイ(電動化)に向け、駆動モーターや電池も開発する方針です。自社で開発が難しい場合、他社との連携も視野に入れます。

拡大させるのは製品領域だけではありません。顧客も拡大させる考えです。

先述のとおり、トヨタ紡織の売り上げはトヨタグループ向けが大半です。現在はトヨタ向け事業も確実に受注しつつ、トヨタ以外への拡販を強化しています。トヨタ以外への売り上げは、31年3月期までに23年3月期比で3倍へ増加させる計画です。取り組みの効果は表れており、24年はアメリカや中国・アジアで新規の受注を獲得しました。今後も日本のほか、海外はポーランド近郊の欧州およびインドで営業活動を強めます。

トヨタ紡織は売上目標として31年3月期に2兆2000億円を掲げます。製品と顧客の双方を拡大させ、目標の達成を目指します。

【主な財務目標(~31年3月期)】

・売上収益:2兆2000億円(25年3月期実績:1兆9542億円)
・営業利益:1500億円(同423億円)
・営業利益率:7.0%(同2.2%)
・DOE:3.0%以上(同3.4%)
・自己資本比率:50%程度(同40.9%)
※DOE…株主資本配当率

出所:トヨタ紡織 事業説明会資料