消費者が考える「ちょうどいい」物価上昇率
「望ましい物価上昇率は前年比で何%くらいだと思うか」という質問への回答が内閣府の最新白書にまとまっている(令和7年度年次経済財政報告、2025年7月29日公表)。
その結果、最も多かった回答は「2~3%」(16.8%)となった。「1~2%」と合わせると約3割程度が2%を中心に、1~2%程度の水準の物価上昇率を望ましいと受け止めているようだ。一方で、「0%」つまり、物価は上がらない方がいいという回答も1割強に達している。
望ましい物価上昇率
年代が高いほど、1~2%や2~3%を望ましいとする傾向が強く、逆に高い物価上昇率は受け入れがたいという姿勢が見て取れる。年代が上がるほど賃金の伸びが期待しにくくなり、特に年金受給者では制度上、物価上昇に見合った支給額の増加が見込めないことも影響しているとみられる。
興味深いのは米国との違いだ。米国では物価上昇率は0%台前半が望ましいとする調査結果もあり、背景には1970年代末から80年代初頭の物価高騰と景気後退の印象が根強く残っており、物価上昇を避ける傾向にあるとされる。一方、日本ではバブル崩壊後の長期低成長と物価停滞が続いたため、「少しは物価が上がった方が経済が回る」と許容されている可能性がある。
ただし、今回の調査は2025年3月に実施されたものであり、食品などの価格高騰が続く中での回答である。日銀の物価安定目標である2%を意識しつつ、実際の上昇率よりも控えめな数値を「望ましい」と答えた可能性もある点には注意が必要だ。