日本の雇用関連指標は良好~7月失業率は2.3%に低下、実質賃金は上昇~

 一方、日本の雇用関連指標は良好な結果となっています。9月5日に発表された7月の毎月勤労統計調査によると、名目賃金が前年比4.1%、実質賃金が前年比0.5%と7カ月ぶりのプラスとなったほか、失業率が2.3%と、前月から0.2%低下しました(図表4)。

 2.3%という失業率の水準は2019年12月以来の低さであり、1990年以降では1992年2月や1991年10月などの2.0%が最低水準です。かなり雇用環境はタイトであることが分かります。

<図表4 日本の名目・実質賃金と失業率>

(注)名目賃金は現金給与総額(5人以上の事業所ベース)、実質賃金は名目賃金を消費者物価(持家の帰属家賃を除く)で割り引いて算出。シャドーは日本の景気後退期。 (出所)厚生労働省、楽天証券経済研究所作成

 なお、消費者物価と相関の高い所定内給与(30人以上の事業所ベース)を見ると、7月は前年比2.3%であり(図表5の現在地)、消費者物価上昇率2%と整合的な3%には依然として届いていません。

<図表5 所定内給与と消費者物価>

(出所)総務省、厚生労働省、楽天証券経済研究所作成

日本銀行が望んでいるのは、所定内給与の上昇幅が拡大する一方で、消費者物価上昇率が縮小していき、グラフの現在地である黄色のドットが、赤いドットの位置で安定する姿だと考えられます。しかし、実際にそうなるかどうかは、データを待って確認するしかありません。