若い世代ほど「特に節約しているものはない」

年代別に見ても、最も減らしている分野は食費や外食であり、続いて衣類、身の回り品や「旅行・レジャー」が挙げられている。これらの分野でも年代が上がるにつれて節約傾向が強くなっていることが分かる。

特に60代は前述どおり衣類、身の回り品、耐久財の購入のほか、「株式などへの投資」においても他の年代より支出を減らしているさまが顕著となっている。

一方で、「特に節約しているものはない」との回答は全体では2割程度だった。年代別で見ると、若い世代ほど高い割合を示している。20代が最も高く、年代が上がるにつれ下がっていくため、この点からも節約意識は高齢層でより顕著であることが分かる。

無駄な支出を減らし、より価値のある使い方へ

物価上昇が続き、家計は食費・外食を中心に支出を抑えている。また、年代が上がるほど抑制傾向が強いことも明らかになったというこの結果を参考に、少しでも自身の生活に有効に活用できないだろうか。

物価高騰による節約は世知辛いが、家計を見直す好機と捉えてはどうだろう。無駄な支出を減らすだけでなく、より価値のある使い方へ転換できるものがないかを考えてみたい。

例えば、忙しさや手間などから外食が多いなら、少しだけ自炊を心掛けてみる。ストレス解消の暴飲暴食をやめられないなら、健康診断の結果をあらためて確認してみたりしてもよいだろう。

いずれも家計の「見える化」を習慣にすることを視野に入れてはいかがだろうか。支出の記録と振り返りを定期的に行うことで無駄遣いを減らしたい。節約は単なる我慢ではなく「選択」であるととらえ、自身にとって本当に価値があるものにお金を使う意識が物価高の時代を乗り切る力となるだろう。

調査概要 白書名:「令和7年度年次経済財政報告」 調査主体:内閣府 公表日:2025年7月29日