子会社売却で純資産が拡大、PBR 0.6倍台へ低下

パソナグループの株価は近年に2度の大相場を迎えました。1度目はコロナ禍です。関連業務を請け負うBPO(※)の需要から業績が拡大し、期待感から2021年11月に上場来高値となる3860円まで買われます。

※BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)…間接業務の委託

2度目の急騰は2年後、子会社のベネフィット・ワンの売却に起因します。当初はエムスリーが1株1600円でTOB(公開買い付け)する予定でしたが、第一生命ホールディングスが1株2173円で対抗。売却益が拡大する思惑から、23年12月に3030円の高値をつけました。

その後、24年4月にベネフィット・ワン売却に伴う特別配当を公表すると、出尽くし感もあり、株価はストップ安となる2200円まで急落します。以降はおおむね横ばいの推移となり、現在も同水準で取引されています。

【パソナグループの株価チャート(過去5年間)】
・株価:2159円(25年8月21日終値)

パソナグループの株価の動きをグラフで表した図表(過去5年間)
 
出所:Tradingview
 

ベネフィット・ワンの売却は、PBR(株価純資産倍率)を大きく低下させます。1120億円もの売却益が、純資産を大きく拡大させたためです。従来1~2倍台で推移していたPBRは、足元で0.61倍まで低下しています。

【パソナグループのPBR(25年8月21日終値)】

・1株あたり純資産(自己株式除く):3517円
・PBR:0.61倍
・(参考)東証プライムPBR:1.4倍(2025年7月)
※純資産および株式数は25年5月末
※東証プライムPBRは加重平均

出所:パソナグループ 決算短信、日本取引所グループ その他統計資料

パソナグループはPBR1倍の回復を目指しており、その原資にベネフィット・ワンの売却益も充てる方針です。巨額資金の使い道と狙いを確認しましょう。