成長投資650億円 リゾートホテル開業、観光事業の黒字化へ一手
冒頭のとおり、パソナグループは子会社だったベネフィット・ワンを売却しました。ベネフィット・ワンは、パソナグループの営業利益の7割超を占める中核企業でした(23年5月期)。パソナグループは事業ポートフォリオの最適化を、ベネフィット・ワンはさらなる企業価値の向上を図る中で、エムスリーや第一生命ホールディングスといった買い手が現れたことから、今回の売却が実現しました。
巨額な売却金の使い道が関心を集めていましたが、その概要が判明しました。1120億円の多くを成長投資に回し、ベネフィット・ワンの穴を埋める狙いです。
【ベネフィット・ワン売却益の使途(~30年5月期)】
・成長投資:650億円
・経営基盤強化:300億円
・株主還元:170億円
※別途、営業キャッシュフローの充当および有利子負債の適宜活用も想定
出所:パソナグループ 中期経営計画
成長投資は人材の基幹システム刷新のほか、淡路島(兵庫県)の新ホテル開発などを想定します。パソナグループは淡路島との結びつきが強く、現地でテーマパーク「ニジゲンノモリ」や商業施設「レディーバード ロード」などを運営します。20年には本社機能の一部も移転しました。
とはいえ、地方創生・観光ソリューションは先行投資から足元で赤字の状況です。新ホテルは飲食店も入る大型のリゾートホテルで、手薄だった淡路島北部の岩屋エリアでの開業を予定します。既存施設とのシナジーを取り込みつつ収益化し、地方創生・観光ソリューションでは30年5月期に20億円の営業黒字を目指す計画です。
追い風もあります。兵庫県は25年7月、「淡路島総合観光戦略(2023~2027)」を公表しました。インバウンド含め遠隔地からの流入を促進し、島内の観光GDPを27年度に766億円(19年度696億円)まで拡大させる構想です。パソナグループには恩恵が期待できるでしょう。