次の成長へ布石、投資額2.6兆円 30年度に営業益6000億円へ
いすゞ自動車は、さらに長期の計画も公表しています。31年3月期に向け、売り上げを拡大しつつ、対売り上げ・対資本で利益率の改善を図る内容です。
【主な財務目標(~31年3月期)】
利益率の改善策の1つが事業投資です。いすゞ自動車は、31年3月期までの8年間で2.6兆円を投資します。うち1.6兆円は既存事業へ投じる計画で、生産および販売の拠点強化や商品ラインアップの拡充へ資金を振り向けます。
残る1兆円はイノベーション投資です。自動運転やカーボンニュートラルといった新技術のほか、新規事業および次世代商品の開発に注力し、成長力を強化します。当面は既存事業投資を優先させ、イノベーション投資は徐々にウェイトを高める方針です。
対資本での利益率の改善においては、株主還元も活用します。いすゞ自動車は業績の拡大から自己資本が増加しており、健全性には貢献する一方で、ROE低下の要因となります。そこで、配当性向は31年3月期まで平均40%以上を維持し、同時に自社株買いを継続することで自己資本を抑制し、ROEの改善を図ります。
とはいえ、先述のとおり今期(26年3月期)は減益の計画です。利益率の改善は、27年3月期以降に持ち越されることとなります。当面は、今期の進捗が投資家の注目を集めるでしょう。