主力のタイで販売伸びず4期ぶり減収 今期は下期から巻き返しを計画
続いて業績を解説します。いすゞ自動車は、24年3月期にかけて大きく成長しました。国内外で販売が伸びたほか、円安や値上げが業績をけん引します。
ただし、25年3月期は一転して減収減益となりました。商用車は堅調だった一方で、ピックアップトラックは主力のタイ市場で在庫調整を主因に不振となり、総販売台数は53.9万台まで減少します(前期は66.6万台)。資材費などの上昇もあり、売上収益は前期比5.0%減、営業利益が同18.5%減となりました。
販売は今期(26年3月期)にやや回復する想定です。販売台数は前期比7.8万台増の61.7万台を計画します。商用車は、国内では需要の高いAT免許対応車を増強するほか、海外でも欧州・アジアで台数増を見込みます。ピックアップトラックは、タイで在庫調整が完了することから下期を中心に回復し、通年で増加する想定です。
ただし、利益は減少を予想します。販売台数の増加や値上げが収益を押し上げる一方で、資材費の高騰や円高を見込むことなどが影響します。なお、業績予想にはトランプ関税を反映しており、営業利益ベースで160億円の下押しとなる想定です。なお、いすゞ自動車は米国で新工場を27年に稼働させる計画で、将来の関税影響は緩和が期待されます。
【いすゞ自動車の業績予想(26年3月期)】
・売上収益:3兆3000億円(+2.0%)
・営業利益:2100億円(-8.5%)
・純利益:1300億円(-7.2%)
※()は前期比
※同第1四半期時点における同社の予想
出所:いすゞ自動車 決算短信
今期の第1四半期は総販売台数が14.2万台となり、前年同四半期比12.7%増で着地します。販売はタイを含め堅調で、売上収益も7799億円(同3.6%増)と伸長しました。ただし、円高および資材費の高騰が逆風で、営業利益は572億円(同27.7%減)へ減少しました。