「柏崎刈羽」再稼働はいつ? 工事完了が延期に 県は意識調査に着手

続いで、原子力発電所の再稼働に向けた動きを振り返りましょう。

原子力発電所は、一時は全国ですべてが停止しました。しかし、現在は全国的に復調の傾向にあります。一方、東京電力ホールディングスはいまだにゼロの状態です。

原子力設備利用率(2010年度~2024年度)を表した図表
 
出所:東京電力ホールディングス ファクトブックより著者作成
 

東京電力ホールディングスが保有する原子力発電所は、福島の第一・第二と柏崎刈羽(新潟県)です。うち福島は廃炉が決定しており、再稼働の期待は柏崎刈羽に向けられています。同社は再建計画において、原子力発電所1基の稼働で年間1000億円の収支改善が見込めるとしています。ただし、同社が認めるとおり、再稼働の見通しは不透明です。

柏崎刈羽は6~7号機で認可を取得し、再稼働の手続きを進めています。しかし、7号機で当初25年3月の完了を予定していた新規制上(テロ対策など)の工事が、29年8月までかかる見通しとなりました。当該工事の期限は25年10月のため、仮に再稼働させても、すぐに停止を強いられる状況です。

6号機も、同工事の完了目途が26年9月から31年9月へ延期されました。ただし、6号機は工事期限が29年9月と、7号機より約4年の猶予があります。技術的には25年8月ごろには準備が整うとしており、すぐに再開させれば数年の稼働が見込めます。このことから、今後は6号機に注力する方針です。

なお、原子力発電所の稼働には地域住民の理解も必要です。新潟県は再稼働に関連する県民意識調査の実施を公表しており、25年8月中下旬から柏崎刈羽原発から30キロ圏内を中心に県内全域で調査を実施します。また、県民の意見を募る公聴会も8月末まで実施される予定で、県知事の判断は9月以降に示される見通しです。