25年6月から急反発 事故から無配、PBR 0.37倍

東京電力ホールディングスの株価は足元で反発しています。2024年4月までは上昇トレンドで、一時1114.5円まで買われました。以降は右肩下がりとなり、25年4月のトランプ関税ショックでは360円の安値を付けます。

反発は同年6月ごろから始まります。株価は直線的に上昇し、翌7月末には約9カ月ぶりに600円台を回復しました。株価の上昇は、イスラエルとイランの停戦合意に伴う原油相場の下落や、データセンター事業への参入報道などが材料視されたとみられます。中長期でも上昇率は高く、5年ではプラス115.0%(2.1倍)に達します。

【東京電力ホールディングスの株価チャート(過去5年間)】
・株価:630円(25年8月6日終値)

東京電力ホールディングスの株価の動きをグラフで表した図表(過去5年間)
 
出所:Tradingview
 

ただし、PBR(株価純資産倍率)は足元の株価で0.37倍と、目安の1倍を大きく割り込みます。東京電力ホールディングスは11年の東日本大震災以降、無配へ転じており、純資産は積み上がりやすい状況です。これに逆行する形で、同社のPBRは長期に逓減しています。

【東京電力ホールディングスのPBR(25年8月6日終値)】

・1株あたり純資産(自己株式除く):1722.28円
・PBR:0.37倍
・(参考)東証プライムPBR:1.4倍(25年7月)
※純資産および株式数は25年3月末
※東証プライムPBRは加重平均

出所:東京電力ホールディングス 決算短信、日本取引所グループ その他統計資料

PBRの改善は、純資産の減少または株価の上昇が必要です。しかし、東京電力ホールディングスは公的な支援を受ける立場から、株主還元などで純資産を減らすことが難しい状況にあります。PBRの改善は株価の上昇に期待したいところです。

東京電力ホールディングスの株価動向には、柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働が大きなカギとなると考えられます。現在はどのような状況にあるのでしょうか。経緯を振り返りましょう。