業績順調、売上は毎年増加 今期も増収、利益は下期に偏重の計画

続いて経営成績を確認しましょう。日清食品ホールディングスの業績はおおむね順調です。19年3月期に国際会計基準へ移行してから減収は一度もなく、売り上げは毎年増加しています。

利益も拡大傾向です。コロナ禍では巣ごもり需要から業績が拡大したほか、24年3月期は値上げ効果から米州が大幅な増益となり、連結の営業利益は700億円台まで拡大しました。

25年3月期も増収増益でした。ただし、成長には一服感も見られます。国内は比較的堅調でしたが、米州を中心とした海外で苦戦しました。米州で資材費および物流費が増加したこと、米国で外部倉庫の使用に伴う一時的な費用が生じたこと、同じく米国で大手量販店での取り扱いが減少したことが逆風でした。

日清食品ホールディングスの業績(2016年3月期~2025年3月期)を表した図表
 
出所:日清食品ホールディングス 決算短信より著者作成
 

今期(26年3月期)も増収および営業増益を予想します。営業利益は幅を持たせた開示で、前期比で最大7.0%増の計画です。利益は下期に偏る想定で、国内即席めん事業で値上げの実施がないこと、米国の数量減が上期いっぱい継続することが影響します。なお、関税影響はわずかと分析します。完成品は現地工場での生産が主なため、影響は一部の資材に限られる想定です。

【日清食品ホールディングスの業績予想(26年3月期)】

・売上収益:8100億円(+4.3%)
・既存事業コア営業利益:836億円(+0.1%)
・営業利益:756億~796億円(+1.7%~+7.0%)
・純利益:530億~560億円(-3.7%~+1.8%)
※()は前期比
※既存事業コア営業利益…営業利益から新規事業にかかる損益および非経常損益としてのその他収支を控除したもの
※同第1四半期時点における同社の予想

出所:日清食品ホールディングス 決算短信

今期の第1四半期は、売上収益が前年同四半期比で4.3%減、営業利益は同27.5%減と低調でした。通期予想は据え置かれており、進捗率は売上収益が21.9%、営業利益が19.9%~21.0%にとどまります。国内はおおむね計画どおりながら、海外は円高などで苦戦しました。先述のとおり、今期は下期に利益が偏重する計画であり、後半での巻き返しを図ります。