今後の金利環境と住宅ローン選択の考え方

現在の金利環境を鑑みると、変動型金利の選択が主流となっていることに妥当性はありそうだ。しかし、将来的な金利上昇リスクには注意が必要だ。日銀はマイナス金利政策から脱却し、今後は緩やかな利上げが予想される状況にある。変動型を選択した場合、金利上昇局面では返済額が増加するリスクがあることを十分に理解しておく必要がある。

住宅ローンの選択にあたっては以下のポイントを考慮することを視野に入れたい。

1.返済計画の長期的視点…住宅ローンは一般的に長期の借入れとなるため、当初の返済額の低さだけでなく、将来の金利上昇リスクも考慮した返済計画を立てる

2.収入と返済のバランス…金利上昇時の返済額増加を想定し、収入に対する返済負担率に余裕を持たせておく

3.ミックス戦略の検討…借入れ総額の一部を固定型、残りを変動型にするなど、リスクを分散させる戦略にも検討の余地がある

4.複数の返済シミュレーションを行う…様々な金利シナリオでの返済額変動をシミュレーションする際に、最悪のケースも想定し、それでも対応可能かを検証する

調査結果は日本の住宅ローン市場におけるトレンドの変化を示している。変動型金利を選択する借り手が約8割に達したことは、借り手の金利タイプに対する考え方が反映されている。

低金利環境の長期化、金融リテラシーの向上、そして戦略的な借入れ計画の策定など、様々な要因が変動型金利の選択に寄与している背景がありそうだ。しかし、将来的な金利上昇リスクを考慮した慎重な計画立案が重要であることには変わりはない。

住宅ローンは人生で最大の借入れとなることが多く、その選択は長期的な家計に大きく影響する。金利タイプの選択においては現在の金利水準だけでなく、将来の金利動向や自身のライフプランを総合的に考慮した判断が必要だ。

調査概要 調査名:「住宅ローン利用者の実態調査 【住宅ローン利用者調査(2025年4月調査)】」 調査主体:住宅金融支援機構 公表日:2025年6月27日 調査期間:2025年4月30日~5月12日 調査対象:2024年10月~2025年3月までに個人向け住宅ローン※の借り入れをした1397人(全国20歳以上~70歳未満、学生・無職除く) ※借換、リフォームローン、土地のみローン、投資用ローン除く)