娘が驚いた白い封筒の中身

門扉を閉めて帰ろうとすると、瑛美は郵便受けがパンパンなっていることに気がついた。見栄えが悪いと思い、瑛美は郵便受けの中身を全て取り出した。

基本的にはポスティングのチラシだったが、その中に白い封筒が入っていた。そこに書かれていた差出人に瑛美は驚愕する。

そしてすぐに家に戻り、リビングに入る。するとまさに茂人がリモコンでクーラーを操作しているところだった。見るとクーラーの電源が消されている。気付かれた茂人はばつが悪そうにリモコンを机に置いた。

「何? また消したの?」

「……電気代がもったいないだろ」

瑛美は茂人の横に正座をし、机に白い封筒を置く。

「これ何? 消費者金融からお金でも借りてたの?」

茂人は何も言わず俯く。黙っているのが答えのようなものだった。

「中を見るよ」

瑛美は聞きながら、茂人の答えを待つことなく封筒を開けた。案の定、白い紙には今月分の返済額と返済残高がはっきりと明記されていた。

「何これ⁉ 何でこんな借金があるのよ⁉」

借金をしてるのは封筒を見つけた時点で予想していた。しかしそこに書かれてある200万という金額に瑛美は愕然とした。

「……お前には関係ない」

茂人の言葉に瑛美は怒りを覚えた。

「ふざけないで! こんな借金作って何が『関係ない』よ。どうせ借金を返すために電気代をケチってるんでしょ? そんなことしてたらまた倒れるかもしれないのよ⁉ そんなことになってるのに『関係ない』はないでしょ!」

瑛美の言葉に茂人は口を僅かに動かす。何か反論をしているようだが、声が小さく聞こえない。