もうひとつは、企業の期待する役割の違いです。
ミドル・シニアは若手とは異なり、ある程度完成されたスキルを保有しており、そこを期待して企業側も採用します。その前提ですと、どのようなスキルの人を採用すべきなのか、どのようにスキルを見極めるのかが問題になります。特に社内にない機能を導入しようとすれば、見極めのポイントに関する経験知もありません。さらに年功序列的な制度が通常でしたので、階層や既存社員との関係性を考慮した配置にしなければなりません。これらを考慮しなければならないことが、採用を躊躇させる要因になっています。
また、ミドル・シニアは、先に述べたとおり即戦力としての期待から、若手に比べて高い報酬となることが一般的です。若手であれば2名採用できるような金額になることもあり、採用する側も〝覚悟〞が必要となります。
●第4回:ミドル・シニア人材の転職はマッチングがカギに 40代以上の人材がもつ、若手にはない価値とは?
『定年がなくなる時代のシニア雇用の設計図』
著者名 宮島忠文・小島明子
発行元 日本経済新聞出版
価格 2640円(税込)
著者情報
宮島 忠文
みやじま ただふみ
株式会社 社会人材コミュニケーションズ 代表取締役社長/中小企業診断士・MBA(社会的企業のビジネスモデル研究)
総合電機メーカーにてエンジニアとしてキャリアをスタート。その後、かねて問題意識を有していた教育事業において教務責任者・執行役員として従事。同時に中小企業診断士として事業再生・新規事業の立ち上げ等を行う。2013年にはビジネスパーソンの能力を最大限発揮できる教育・研修を実現させるべく、社会人材学舎・社会人材コミュニケーションズを創立。以来、ミドル・シニアの活躍支援をミッションとしている。経済産業省、厚生労働省などの人材やキャリア、職業能力、企業の採用戦略等に関する研究会の委員を務めている。著書に『定年がなくなる時代のシニア雇用の設計図』(日経BP・日本経済新聞社・共著)。
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著者情報
小島 明子
こじま あきこ
株式会社日本総合研究所 創発戦略センター スペシャリスト
CFP®認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、国家資格キャリアコンサルタント。金融機関を経て日本総合研究所に入社。ミドル・シニアに関する働き方や協同労働に関する調査研究に従事。著書に『中高年男性の働き方の未来』(金融財政事情研究会)、『女性と定年』(金融財政事情研究会)、『定年がなくなる時代のシニア雇用の設計図』(日経BP・日本経済新聞社・共著)、『協同労働入門』(経営書院・共著)、『「わたし」のための金融リテラシー』(金融財政事情研究会・共著)等。
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