欲しい人材の明確化という課題も

一方で、LIFULL「シニアの就業に関する意識調査」3によれば、65歳以上の人材を採用しない(できない)理由としては、「体力・健康面に不安」(42・2%)、「任せられる仕事がない、分からない」(34・3%)、「即戦力として活躍が期待できない」(24・5%)などが挙げられています。よく中小企業の現場では、「よい人が欲しい」という声を聞きますが、「よい人材」の定義は曖昧です。「任せられる仕事がない、分からない」からは、若手人材へのニーズ以前に、どのような人材が欲しいか、企業側もはっきりしていないことが見えてきます。

3 LIFULL「シニアの就業に関する意識調査」(2024) 

労働人口の減少に伴い、多くの中小企業は人手不足に直面しつつあります。「なぜ若手でなければいけないのか」という疑問をほどいていくと、ミドル・シニアの採用経験がないがゆえの若手がよいという思い込みや、必要な人材の定義が曖昧であること、ミドル・シニアでベテランのほうが即戦力になることなどに気づくようになるのではないでしょうか。

シニアの採用方法が分からない

商工中金4によれば、人材の採用方法として、これまで実施したことがある募集の方法は、「ハローワーク」(82・5%)が最も高い割合となり、次いで、「就職情報サイト、就職情報誌」(64・6%)、「自社ホームページ、貼り紙・ポスターなどでの募集」(51・2%)となっています。また、「自社従業員からの紹介による採用(リファラル採用)」(46・4%)や「経営者や役員の家族、親族、取引先からの紹介(縁故採用)」(27・7%)といった紹介を利用した採用についても、一定の割合で実施されています。

4 商工中金「中小企業の人材確保に関する調査」 (2024年) 

人材の定着面を見ると、「リファラル採用」や「縁故採用」など、紹介経由での採用に高い効果を実感している様子が窺えます。