路線価は相続税計算のベースになっても「その値段で売れる」とは限らない
というように、地価にはその用途に応じてさまざまな種類があることは、お分かりいただけたかと思います。それは知識として覚えてもらえれば良いのですが、実際の土地売買は「実勢価格」、いわゆる時価で行われる点には留意しておいて下さい。
これは筆者の経験から言わせてもらうのですが、路線価と実勢価格には大きな隔たりがある、ということを覚えておいた方が良いでしょう。
不動産の相続を受け、そのままそこに住まうのであれば問題ないのですが、最近は地方に両親、東京などの大都市圏に子供が離れて住んでいるケースは、少なくありません。
しかし両親が亡くなり、実家が空き家になったので、それを売却しようとした時に、実勢価格の問題が生じてきます。
もちろん、その土地が地方でも超一等地であれば、すぐに買い手が付くでしょうし、実勢価格も路線価とは大差ないかも知れません。
ところが、普通の地方の土地だと買い手がいないため、実勢価格が路線価を大きく下回ってしまうこともあります。ちなみに私の場合、横浜市泉区にあった実家の土地が、当初、建物を含めて800万円程度の相続税評価額だったのが、230万円をかけて更地にし、それを売却したところ、最終的な売却価格は340万円程度でした。なお路線価は、相続不動産に絡む相続税評価額を算出するベースになります。
このように、相続した不動産によって、相続税評価額と実勢価格は大きく乖離するケースがあります。相続税評価額はもちろんのこと、そのベースとなる路線価が、相続した不動産の価値だと早合点しないようにして下さい。