◆「高配当株」のパフォーマンスは低迷

これに対して、米国高配当株式を投資対象にした「楽天・シュワブ・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型)」(愛称:楽天・SCHD)は株価下落局面での下落率こそ年初来でマイナス18.14%と「S&P500」のマイナス22.76%などよりも抑えられたものの、その後の戻り局面での反発力が弱かった。6月末時点でも年初からマイナス10%程度の水準に沈んだままだ。同ファンドは5月末時点で103銘柄に投資しているが、「高配当」を銘柄選定の条件としているため、組み入れ銘柄は「生活必需品」「エネルギー」「ヘルスケア」など、日常生活に不可欠な安定成長の業種が中心になっている。これらの企業は、成長を追求する「FANG+」の銘柄群とは対極にある企業といえる。「FANG+」が注目を浴びるような局面では、どうしても見向きをされない企業群になってしまう。

加えて、米国の景気に対して先行き不透明感が強まっている中にあって、生活に必須な事業を行っているとはいえ、不況になれば家計が節約を重視し、生活必需品への支出も抑えることになり、業績は悪化する。業績のブレ幅は成長企業と比較して大きくないとはいえ、業績がマイナス方向を向いている時には株価も上がりにくくなるものだ。「高配当株」が「S&P500」などと比較してもパフォーマンスが優れないという状況は米国景気の先行きへの悲観が強まっている状況を表しているように感じられる。米国株式に投資している投資家には気がかりな動きといえるだろう。

執筆/ライター・記者 徳永 浩