ドル離れ沈静化か
ここで米国の10年物タームプレミアムをみておきましょう。これは、いわゆる悪い金利上昇の一つですが、少しピークアウトした動きと映ります(7ページ)。
米国では既に株式相場が4月以降の下げ幅を取り戻しつつあり、債券についても6月12日の30年物国債入札で旺盛な需要が確認されました。先週の動画では、為替市場だけドル安が進むことはあり得るのか、との疑問を投げかけましたが、タームプレミアムを見る限り、やはりドル離れやドル資産売りといったテーマが下火になりつつあると見受けられます。足もとの地政学リスクや原油価格上昇というサポート要因に加え、ドル離れといったテーマが沈静化しつつある動きもドルを支えした可能性がありそうです。
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22日に起こった米国のイラン核施設への攻撃の余波など後編:「スイスフラン円が示す、金融政策が真逆でもドル安円高とはならないわけ」でさらに細かく分析していく。
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著者情報
内田稔
うちだみのり
高千穂大学 教授/FDAlco 外国為替アナリスト
1993年慶應義塾大学法学部政治学科を卒業後、東京銀行(現、三菱UFJ銀行)入行。マーケット業務を歴任し、2007年より外国為替のリサーチを担当。2011年4月からチーフアナリストとしてハウスビューの策定を統括。J-Money誌(旧ユーロマネー誌日本語版)の東京外国為替市場調査では、2013年より9年連続アナリスト個人ランキング部門第1位。2022年4月より高千穂大学に転じ、国際金融論や専門ゼミを担当。また、株式会社FDAlcoの為替アナリストとして為替市場の調査や分析といった実務を継続する傍らロイターコラム「外国為替フォーラム」、テレビ東京「ニュースモーニングサテライト」、News Picks等でも情報発信中。そのほか公益財団法人国際通貨研究所客員研究員、証券アナリストジャーナル編集委員会委員も兼任。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカルアナリスト協会認定アナリスト、国際公認投資アナリスト、日本金融学会会員、日本ファイナンス学会会員、経済学修士(京都産業大学)
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