◆「オルカン」と「S&P500」の積立投資の成果は?
売れ筋ランキングでトップを維持する「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」と「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は、中長期のパフォーマンスが優れていることによって人気を不動のものにしている。たとえば、2018年10月31日に設定された「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は、基準価額10000円でスタートしたものが、2025年5月末には2万6263円になっている。スタート地点から約6年半で約2.6倍だ。4月の「トランプ・ショック」では大きく下落したが、最も下落した4月9日に基準価額は2万2305円。4月末には2万4500円台に回復している。投資をスタートした時点と比較すれば2倍以上に上昇した後での小幅な調整とみえなくもない。
また、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」を使った積立投資の成績についても、設定から毎月1万円を月末に積立投資してきた場合、2025年5月末時点で積立投資元本は80万円で、ファンドへの積立投資の評価額は約140万5000円になっている。積立投資してきた場合でも4月の下落相場の影響は軽微だった。長期の投資が資産形成には必要であるということを確認させられる。
一方、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」を上回る運用成績を残している。特に、2020年3月の「コロナ・ショック」以降に両ファンドの格差は明瞭になった。比較を容易にするため、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の設定時と同じ2018年10月31日を10000円とすると、2025年5月末時点では3万549円となっている。また、2018年10月から毎月月末に1万円の積立投資を実施した場合の積立投資評価額も2025年5月末時点では約152万8000円になった。
運用成績において「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」にかなわないのだが、2025年になってやや「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」が追いつく展開になっている。たとえば、積立投資評価額の格差について、2022年以降は「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」に8%程度劣後することが常態化し、時には10%以上劣後し、2024年12月には12.6%にまで格差が広がった。ところが、2025年4月には両ファンドの格差は7.85%にまで縮まった。今後、パフォーマンス格差が拡大するのか縮小するのか注目したい。
執筆/ライター・記者 徳永 浩