生活基盤材が好調で23年3月期に最高益 今期1Qは増収減益の予想

次に業績を押さえましょう。信越化学工業の利益はおおむね拡大傾向です。コロナ以降に利益が顕著に拡大し、2023年3月期まで2期連続で過去最高益を更新しました。

 
出所:信越化学工業 決算短信より著者作成
 

増益をけん引したのは、塩化ビニルを含む生活環境基盤材料です。塩化ビニルは米国の堅調な住宅市場を背景に需要が拡大したほか、値上げも収益を押し上げました。生活環境基盤材料は2024年3月期から減益が続きますが、電子材料や機能材料が好調で、連結では2025年3月期に2期ぶりの増益で着地します。

 
出所:信越化学工業 財務ハイライトより著者作成
 

今期(2026年3月期)の見通しはどうでしょうか。信越化学工業は例年、本決算では翌1年間の見通しを公表しません。今期も同様で、通期の業績予想は未定としました。

ただし、第1四半期までは見通しが開示されています。前年同四半期比で増収減益の予想です。セグメント別では生活環境基盤材料事業が減益、電子材料事業も下振れと示されました。なお、塩化ビニルは4月以降で数量が伸びていること、5月に値上げしたこと、足元で原料価格が下落していることから、粗利益は改善を見込むとも説明しています。

【信越化学工業の業績予想(2026年3月期 第1四半期)】

・売上高:6100億円(+2.0%)
・営業利益:1660億円(-13.1%)
・純利益:1200億円(-16.7%)
※()は前年同四半期比
※2025年3月期時点における同社の予想

出所:信越化学工業 決算短信