世界4位の化学メーカー、塩ビと半導体シリコンが柱 群を抜く利益率

信越化学工業は大手の化学メーカーです。1926年に肥料メーカーとして新潟県に誕生しました。世界有数の大企業であり、時価総額は化学メーカーで世界4位です(2024年10月末)。

収益の2大柱は塩化ビニルと半導体シリコン(シリコンウエハー)です。塩化ビニルはプラスチックの1つで、住宅の建材や水道パイプなど広範な製品に用いられます。半導体シリコンは高純度のケイ素のことで、メモリやロジック(CPUなど)といった半導体デバイスの基盤となります。信越化学工業のシェアは、いずれも世界1位です。

【信越化学工業のセグメント情報(2025年3月期)】

 
出所:信越化学工業 決算短信
 

信越化学工業の特徴の1つが利益率の高さです。近年の営業利益率は20%~30%台を維持しており、プライム上場企業の平均を大幅に上回っています。

【営業利益率の比較(2023年度)】

・東証プライム(製造業):7.6%
・東証プライム(化学):6.9%
・信越化学工業:29.0%
※信越化学工業は2024年3月期

出所:日本取引所グループ 決算短信集計結果、信越化学工業 決算短信

高い利益率のカギを握るのが塩化ビニルです。米国に塩化ビニル子会社シンテック社を持っており、その生産能力は世界最大です。

汎用品である塩化ビニルは、一般に採算が低い傾向にあります。しかし、シンテック社は大規模な生産基盤を持つほか、原料を近隣から調達できることから、利益率は高水準です。2024年3月期は経常利益率が44.7%に達しました(シンテック社単体は12月期決算)。

信越化学工業の事業はいずれも好採算です。2025年3月期は全セグメントで営業利益率が20%を超えています。同社は汎用品も含め収益性を追求し、全体でも高い利益率を実現しています。