国内百貨店に減速の兆しも増益計画 成長投資で営業益600億円を目指す
最後に業績の見通しも確認しましょう。
まず、国内百貨店は不透明な環境が続いています。日本百貨店協会によると、全国の百貨店売上高は2025年3月に2カ月連続で前年同月比マイナスとなりました。高島屋も、2024年に大きく成長した売上高が足元では鈍化の傾向がみられます。インバウンド売り上げも、今期は前期比で微減の想定です。
そんななか、高島屋は今期(2026年2月期)も増収増益を計画します。国内百貨店事業は、シンガポール店からの海外富裕層顧客の国内送客やセールなどに頼らない正規価格での売上高増大と商品利益率の向上を促進するほか、引き続きコスト削減に取り組み、増益を目指します。連結では、好調なベトナム事業の受取配当金の増大を見込むことから、特に事業利益でやや大きめの増益を見込みます。
【高島屋の業績予想(2026年2月期)】
・営業収益:5212億円(+4.6%)
・営業利益:580億円(+0.9%)
・事業利益:650億円(+2.6%)
・純利益:400億円(+1.2%)
※()は前期比
※2025年2月期時点における同社の予想
※事業利益は営業利益+持分法投資利益+受取配当
出所:高島屋 決算短信
次に翌2027年2月期の見通しです。高島屋は中期経営計画(2025年2月期~2027年2月期)において、営業利益600億円を計画しています。今期の計画比で20億円の増益となり、主に国内商業開発と海外百貨店、金融がけん引する想定です。一方、主力の国内百貨店は停滞、建装業は減益を見込みます。
【セグメント別および連結の営業利益目標】
目標の達成に向け、高島屋は3カ年で1470億円を国内外の商業開発や百貨店といった成長投資に振り向けます。ただし、成長投資は初年度(2025年2月期)で352億円にとどまります。今後はさらに投資を加速させ、収益の向上を目指します。
文/若山卓也(わかやまFPサービス)