取引所のシステム手掛けたIT大手 サービス型事業へ集約進む
富士通はITサービスの大手です。1935年に現在の富士電機から通信機部門を承継して誕生しました。戦後はコンピュータの開発に乗り出し、通信とパソコンで成長する時代が続きます。2021年3月に完成したスーパーコンピュータ「富岳」は、今でも世界ランキング上位の地位にあります。
現在の収益の柱は、コンサルティングやシステムインテグレーション(※)といったサービス型の事業です。技術力に強みがあり、顧客の多くは公官庁や通信会社、金融機関といった公共性の高い主体です。たとえば、東京証券取引所の株式売買システムは富士通が手掛けています。
※システムインテグレーション…システムの設計・開発から導入・保守まで一貫して行うサービス
【富士通のセグメント情報(2025年3月期)】
※調整後営業利益…営業利益から事業再編、事業構造改革、M&A等に伴う損益ならびに制度変更等による一過性の損益を控除したもの
富士通は事業ポートフォリオの積極的な改革も特徴的です。連結子会社の数は2024年3月末で291社と、10年前(同512社)から大きく減少しました。
最近ではグループ傘下の新光電気工業やFDKの売却を決定しました。これに伴い、半導体パッケージや電池などの「デバイスソリューション」事業は、2025年3月期から非継続事業に分類しています。また、エアコンなどの富士通ゼネラルも売却を決定しました。
富士通は、事業を選別することで経営資源を成長領域へ集約させ、効率的な成長を目指しています。