投資に疑問はつきものです。しかし、調べようとしてSNSやネットを見てみると、みんなの意見はバラバラで、かえって不安になってしまうこともあります。
そんななか、投資の不安に豊富なデータでこたえる1冊が登場しました。『井出真吾の投資相談室 63のQ&Aでわかる安心運用』。著者は、ニッセイ基礎研究所 主席研究員・チーフ株式ストラテジストの井出真吾氏です。
今回は、同書から、「S&P500とオルカン(全世界株式)、どっちを買えばいい?」「最近は日本株も上がっているけど、本当に投資していいの?」といった、投資家なら誰もが抱く疑問に対して、Q&A形式でわかりやすく解説していきます。(全2回の1回目)
※本稿は、井出真吾著『井出真吾の投資相談室 63のQ&Aでわかる安心運用』(日経BP 日本経済新聞出版)の一部を抜粋・再編集したものです。
全世界株式型かS&P500連動か“論争”
Q. 全世界株式とS&P500、どちらが優位?
Ans.
ここ40年ほどではS&P500が優位。
特にリーマンショック後では顕著。
新NISAがスタートする前の2023年、ネット上などでは「全世界株式と米S&P500のどちらを買うべきか」で意見が割れました。
まずはデータを確認しましょう。図3-9は両者のデータが揃う1988年以降の37年間の推移です(配当込み、為替ヘッジなし円ベース、1987年末を100として指数化)。

両者とも長期的には上昇しましたが、特に後半に大きく上昇したようにみえます。そこで検証期間を前半18年間(1988~2005年)と後半19年間(2006~2024年)に分けて、リスクとリターンを比較したのが図3-10です。

リスクは前半(1988~2005年)の全世界株式が15%台とやや低かったのを除いて、概ね17~18%程度で同じような水準です。一方、リターンは前半・後半ともS&P500が高い結果でした(当然、全期間もS&P500が高い)。
2001年にBRICsという言葉が生まれたことが象徴しているように新興国の経済成長が著しかったのは2000年代で、それ以前はアメリカが世界経済の牽引役でした。近年はインド株などの躍進もみられる一方、米ハイテク株の上昇も著しく、総じてS&P500が優位な状況が続いたということでしょう。