気になるニュース
最後に気になったニュースを1つご紹介します。米国の国債発行について助言をする借り入れ諮問委員会が債務上限の撤廃を提言したというものです。
債務上限が財政規律を向上させるどころか、米国の信用格付けを損なっており、米国の準備資産という地位に影響しかねないとのことです。
確かに、2011年、債務上限問題で市場が大きく揺れたとき、S&Pは米国を格下げしました。また、債務上限が市場で取り沙汰される都度、基軸通貨としてのドルの信認に関する議論が生まれます。
債務上限があるが故に、かえってマーケットが混乱し、信認が揺らいできた面があるのです。
ただ、債務上限が撤廃された場合、米国の債務が際限なく拡大していく可能性が連想されます。それはいわゆる悪い金利上昇を引き起こすリスクもあり、その場合にドルは下がるといった4月に見られた動きが出てしまう危険性もゼロではありません。今後もフォローすべきニュースと考えられます。
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著者情報
内田稔
うちだみのり
高千穂大学 教授/FDAlco 外国為替アナリスト
1993年慶應義塾大学法学部政治学科を卒業後、東京銀行(現、三菱UFJ銀行)入行。マーケット業務を歴任し、2007年より外国為替のリサーチを担当。2011年4月からチーフアナリストとしてハウスビューの策定を統括。J-Money誌(旧ユーロマネー誌日本語版)の東京外国為替市場調査では、2013年より9年連続アナリスト個人ランキング部門第1位。2022年4月より高千穂大学に転じ、国際金融論や専門ゼミを担当。また、株式会社FDAlcoの為替アナリストとして為替市場の調査や分析といった実務を継続する傍らロイターコラム「外国為替フォーラム」、テレビ東京「ニュースモーニングサテライト」、News Picks等でも情報発信中。そのほか公益財団法人国際通貨研究所客員研究員、証券アナリストジャーナル編集委員会委員も兼任。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカルアナリスト協会認定アナリスト、国際公認投資アナリスト、日本金融学会会員、日本ファイナンス学会会員、経済学修士(京都産業大学)
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