6月利下げとなれば?
一方で6月利下げの可能性も否定できません。インフレの落ち着気に伴い、労働指標をみても需給の逼迫感が和らいでいるからです。仮に6月利下げが選択肢となる場合、サプライズを非常に嫌うFRBだけにFOMCで利下げのヒントを何か出してくるかもしれません。
その場合の各市場の反応も考えておきましょう。利下げというシグナルが出れば、株についてはリスクオンに傾いているだけに、シンプルに上がりそうです。また、長期金利も政策金利の低下を織り込み、小幅に低下すると考えられます。
その場合、ドルには下落圧力が加わりそうですが、ドルは4月に下がりすぎた反動で持ち直しつつありますから、底堅さも発揮するとみています。利下げのヒントが出たからといって142円台まではいかず、143円付近では下げ渋るとみています。
一方、利下げのヒントが出た場合、長期金利が上昇する可能性もあります。長期金利を構成する要素の一つが期待インフレ率です。関税が発動されたことからインフレが警戒される中市場が利下げを拙速とみればインフレ期待が上昇して長期金利が上がる可能性があります。

そして第28回でもお伝えした通り、金利とドルの関係は逆相関から順相関に戻っているだけに、長期金利が上がるのであれば、ドル高方向に進むと見込まれます。もっとも、ただ、関税などで市場が荒れている場合に4月と同様、金利は上がるのにドル安が進む可能性も決してゼロではありません。金利が上がった場合については、素直にドル高になるのか、反対にドルが下がってしまうのか、不透明と言え、リスクシナリオとして認識しておく必要があるでしょう。
改めて、パウエル議長から何か利下げのヒントを出した場合の各市場の動きをまとめておきます。
