その他、経済指標

 

4月28日週に発表された、ほかの経済指標も見ていきましょう。たとえば個人消費支出物価指数の伸びが減衰しており、インフレが少し和らいでいます。消費者物価指数も同様に伸びが減衰しており、インフレ懸念が和らぐような指標が出た形です。

 

労働市場については3月分の雇用動態調査が発表されました。3月の失業者に対する求人件数は1倍を切るギリギリの水準まで低下しています。また、失業保険の継続受給者数もコロナ前を大きく上回る190万件程度まで伸びてきています。

長期にわたり職から離れている人が増えていることになりますが、一般的には離職期間が長くなるほど、復職が難しくなる傾向があります。これも労働市場の悪化傾向を示唆する動きと言えるでしょう。

出所:内田氏

これらに続いて5月2日に4月の雇用統計が発表されました。非農業部門雇用者数は17.7万人(予想は13.万人)と予想上回りました。ただ、3月分が同程度下方修正されており、2か月分を通してみるとほぼ予想通りということになります。失業率も予想通りでした。

フルタイム勤務を希望しているものの、パートタイムでしか働けない人を失業者として計算した広義失業率U-6は7.8%まで低下しました。ただ、時給の伸びは前月比、前年比ともに予想あるいは前月の実績を下回っています。

以上を踏まえると、米国経済のハードデータは底堅さを保っています。一方、ソフトデータは非常に悪化している上、物価や雇用環境の指標からは少しインフレが落ち着く方向性が示されたと思います。

 

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後編:【5月FOMC注目はパウエル議長による「利下げメッセージ」か その後の市場の動静も予測】では、FOMCを中心に5月5日週の注目ポイントを紹介する。

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