4月28日週の注目ポイント

最後に4月28日週の注目材料です。米国では雇用動態調査(JOLT)、ADP雇用報告、雇用統計と労働市場関係の経済指標に注目です。というのも、24日にクリーブランド地区連銀のハマック総裁が「(経済指標の)データ次第では6月利下げの可能性も」とハト派寄りの発言をしています。また24日にはウォラー理事も「関税が7月より前に経済に大きな影響を与えるとは考えてはいない」としつつ、「労働市場が顕著に悪化した場合は措置(利下げ)を講じる」と発言をしています。
FRBパウエル議長は「物価の上振れと景気の下振れのどちらにも警戒が必要であるため利下げを慎重に待つ」というスタンスを維持しています。ただ、仮に労働市場の弱さを示唆する指標で続けば、5月6日から7日に開かれるFOMC後の記者会見で、パウエル議長がハト派へ少し軸足が移り、それを受けてドル安方向に動く可能性もあります。
日本では4月30日から5月1日に日銀の金融政策決定会合と物価展望レポートの公表があります。4月2日に相互関税が発表されるまで5月1日に日銀が利上げに踏み切ると予想していましたが、関税を受けて少なくとも90日間の交渉期間中、日銀は動けないでしょう。この為、記者会見でも植田総裁から関税に関する不確実性を理由に、利上げに対する慎重なトーンの発言が出ると考えられます。
その場合、円高材料が少し和らぐこととなりますから、若干円安方向に動くでしょう。ただ、「見通しに沿って経済物価が動く限りにおいては金融緩和の度合いを調整していく」という従来の利上げのスタンスそのものを撤回することもないと思います。
ここまでお話ししてきたように、4月21日週、ドル安材料のかなりの部分が多少緩和する方向に動きました。4月28日週は、労働関係の指標が極めて悪かった場合、再度ドル安方向の動きになる可能性もありますが、一旦145円程度までドル円が持ち直してもおかしくないと予想しています。
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