「グロソブ」が火をつけた「毎月決算型」
毎月決算型ファンドに望まれるのは、安定した分配金だ。安定した分配金を支払う原資として一番良いのは債券等の利子利回りが高く、インカム収益で分配原資を稼ぎ出すパターンだ。まさに、「毎月決算型」商品を市場に定着させた大きな功労者である「グローバル・ソブリン・オープン」(通称:グロソブ)は、国債等のソブリン債を投資対象とし、その安定的な利回り収入を原資として安定的な分配を実施することで人気を集めたファンドだった。「グロソブ」の設定は1997年12月。2008年8月には純資産残高が約5兆8000億円に達した。その人気が高まった期間には、毎月1万口当たり40円(年間480円)を分配していた。その後、リーマンショック(世界金融危機)の影響で金融市場が大混乱となり、世界的な金利が大きく引き下げられたこともあって「グロソブ」は毎月40円の分配金を維持できなくなって人気が離散することになった。
この「グロソブ」が残した5兆8000億円という残高は投資信託業界に非常に大きなインパクトがあった。「グロソブ」人気が下火になる中で、「グロソブ」に集まった毎月決算型へのニーズを引き継ぐための商品が数多く開発された。投資対象には「REIT(上場不動産投信)」、「ハイイールド債券(信用格付けが低いものの表面利率が高い債券)」、「高配当株式」などが選ばれ、「グロソブ」の実績であった「毎月40円」を超えるような分配実績のある毎月決算型をめざした。ただ、どのファンドも10年、20年という長期にわたって高い分配金を維持することができず、基準価額の長期低落に陥ってしまった。
「毎月決算型」との望ましい付き合い方とは?
「毎月決算型」は毎月の分配金の受け取りが魅力だが、その分配金が安定的に支払われるかどうかがポイントだ。ファンドの運用の中身もしっかり確認し、かつ、運用成果も確認の上で投資する判断をしたい。
「プラチナNISA」でその対象商品に「毎月決算型」が認められれば、多くの高齢者が「プラチナNISA」で毎月決算型を購入するようになるだろう。必要と考える利回り水準を安定的に分配金で払い出すことができるかどうかが重要なポイントになる。自分自身にとって必要な分配金の水準はどの程度であるのか? そして、投資対象と考えるファンドは、その分配金の水準を長期にわたって維持することが可能なのか? その見極めが重要になる。
執筆/ライター・記者 徳永 浩