三菱アセット・ブレインズがまとめた2025年9月の公募投信(ETF、DC専用、SMA専用、公社債投信除く)の新規設定ファンド数は22本と前月(22本)と同じだったが、設定総額は約950億円と前月(約240億円)から大幅に拡大した。新規設定額ランキング(設定額は設定日の純資産額)でトップは、ニッセイアセットの限定追加型ファンド「ニッセイ/シュローダー好利回りCB2025-09(ヘッジなし・限定追加型)」の約258億円だった。第2位は「ドナルド・スミス グローバル・ディープバリュー戦略株式ファンド」の約193億円、第3位は「MS米国株式インサイト戦略ファンド(ヘッジなし)」の約190億円だった。この3ファンドが設定額100億円越えとなり、3ファンドだけで約640億円の設定額になった。また、第4位に「ジャパン・クリエイティブコンテンツ関連株ファンド」(設定額約94億円)、第10位に「カレラ英連邦3国ファンド」(同13億円)、第15位に「ニッセイ・S欧州株式500インデックスF<購入・換金手数料なし>」(同2億円)など、これまでの米国テクノロジー株式を軸にした投資カテゴリーとは異なる視点で作られたファンドが目立ち始めている。
CB(転換社債)の持ち切りで「為替ヘッジなし」
新規設定額でトップの「ニッセイ/シュローダー好利回りCB2025-09(ヘッジなし・限定追加型)」は、信託期間が約5年の限定追加型ファンドであり、信託期間内に償還日を迎える世界各国のCB(転換社債)に投資し、償還まで継続保有することで安定したインカムゲインの確保および信託財産の成長を目指すファンドだ。ヘッジあり型とヘッジなし型の2本が設定された。ヘッジなし型は同シリーズで初めての設定となり、約260億円を集めたのに対し、ヘッジあり型は約70億円にとどまった。
限定追加型の債券持ち切り運用のファンドは、従来はヘッジあり型に人気があった。ヘッジなし型は、償還時の為替水準が設定時よりも円高になった場合、その水準によってトータルリターンがマイナスになってしまう可能性があるためだと考えられる。ヘッジあり型が人気を集めたのは、ヘッジコストを負担してでも、定期預金や個人向け国債などの国内固定金利商品を上回る利回りが獲得できる商品としての価値が認められてきたためだろう。銀行チャネルを通じた販売に定評があったのは、可能であれば価格変動リスクを避けたいという銀行利用者の投資商品に対するニーズの現れとも感じられる動きだった。
ところが、今回の追加限定型ファンドはヘッジなし型の方が圧倒的な人気だった。この動きに対し、三菱アセット・ブレインズは、現状では、米ドル金利が円金利を上回っているため、為替ヘッジには金利差に相当するヘッジコストが生じ、ヘッジあり型の利回りを押し下げるという事情を背景に、「今回ヘッジなし型が選好されたのは、ヘッジコスト回避を優先する投資行動が主因である可能性が高く、また投資家が円高の進行を強く懸念していないことが示唆される」と分析している。