金融庁は、高齢者向けのNISA(少額投資非課税制度)を創設する方向で検討に入ったようだ。高齢者に限り、運用益を分配金として毎月払う投資信託などを組み込めるようにする方向だという。高齢者向けの名称は「プラチナNISA」とし、65歳以上に限り毎月分配型投信を解禁する案が出ている。2024年1月にスタートした「新NISA」は「資産運用立国実現プラン」の推進を意識して「我が国の家計金融資産の半分以上を占める現預金が投資に向かい、企業価値向上の恩恵が家計に還元されることで、更なる投資や消費に繋がる」ことをめざして資産形成層向けの役割発揮が重要視された。このため、対象商品から「毎月決算型」が除外された。
新NISAの対象商品から「毎月決算型」が除外されたのは、収益を払い出す仕組みが資産形成にふさわしくないという考えもあったが、それ以前に、毎月決算型は分配金を安定的に出すため元本を取り崩してまで分配する「たこ足分配」が常態化しているということへの根強い批判があった。実際に多くの毎月決算型ファンドの基準価額は、1万円を大きく下回り、中には1000円台や1000円を下回るものもあった。
ただ、退職世代などを中心に、「毎月決算型」には根強い人気があった。そこで、「たこ足分配」の批判に対し、運用会社は「予想分配金提示型」という運用実績に応じて分配金を払い出す(運用がうまくいっている時に、運用によって増えた資産分だけを分配金として支払う)仕組みの「毎月決算型」を提供した。しかし、購入者のニーズが強いのは「毎月一定額の分配金」だった。「予想分配金提示型」は実績分配であり、常に右肩上がりのパフォーマンスになるわけではないため、運用成績が悪い場合は分配金が減額されたり、ゼロになったりすることがある。ただ、この苦心の毎月決算型も新NISAの投資対象から外れた。
毎月決算型で新NISAの対象外のファンドでありながら、新NISAがスタートした後でも新NISA対象商品に負けない人気を保ち続けている「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)(愛称:世界のベスト)」の動きを振り返りながら、「毎月決算型」ファンドの活用法について考えてみたい。