◆「世界のベスト」は新たな選択肢になるか?
3月にトップ10圏外から第9位に食い込んだ「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)」(愛称:世界のベスト)は、市場が変調する中で選ばれるファンドとして納得感が高い。これまでトップであった「S&P500」や「全世界株式(オール・カントリー)」が「M7」主導の相場で2024年12月まで大きな成果をあげてきたものの、世界を分断するトランプ政権の関税政策によって「M7」が苦境に立たされる中で、世界中から安定的に成長し続ける銘柄を探してポートフォリオを作っているファンドだ。「生成AI(人工知能)」や「M7」などあらかじめ対象を決めて考えるのではなく、個々の企業を丁寧に分析した結果、優れた企業のみを選んでいる。
そのような投資態度が2024年12月末には米国株式の比率を落として欧州株の比率を高めるというポートフォリオの変更につながり、業種分類でも「金融」「資本財・サービス」「ヘルスケア」が「情報技術(IT)」よりも上位にくる配分比率になっている。同じグローバル株式を投資対象としたファンドでありながら、インデックスファンドとはポートフォリオの中身は大きく異なる構成になっている。トランプ関税については世界的な株安になっているため、さすがに連れ安をしてしまうだろうが、下落率は抑えられる期待がある。また、市場が落ち着いて下げ過ぎの是正など反転する過程では下落率が抑えられた分、株価の戻りも早いと期待される。「S&P500」や「全世界株式(オール・カントリー)」は同じリスク特性のある株式で構成されているが、それとは異なる「世界のベスト」は面白い選択肢として注目され始めたのだろう。
執筆/ライター・記者 徳永 浩