読売333が、日経平均やTOPIXなみの存在感をもつには…

読売新聞グループ本社は、読売333という新しい株価指数を開発したことによって、インデックス・プロバイダーに参入しました。

読売333は、「日本を代表する企業、333銘柄で構成されたインデックス」であり、その特徴として「等ウェート型」という算出方法を打ち出しています。日本の全上場企業の中から、1日の平均売買代金と浮動株時価総額で、その上位333銘柄まで絞り込み、1銘柄につき約0.3%ずつという同じ比率で組み入れていきます。これが等ウェート型と呼ばれるゆえんです。

今回、選定された333銘柄の特徴は、時価総額が数十兆円から数千億円までと幅広いのに加え、東京以外に本社を置く企業が37%を占めていること、東証17業種をすべてカバーしていること、東証のプライム市場銘柄だけでなくスタンダード市場銘柄も含まれていることが挙げられています。つまり、偏りが少なく、したがって日本の株式市場を代表するインデックスであると言えなくもありません。

ただ、課題はいろいろあります。

まず指数の更新頻度が1日1回、午後5時をめどに行われること。つまり日経平均株価やTOPIXのように、午前9時から午後15時半までの間、リアルタイムで更新されるのではなく、1日のうちで1回しか値段が算出・公表されません。当面は1本値の公表で、リアルタイムの更新は投資家からのニーズを見て検討するということですが、1日1回の更新頻度では、投機マネーが入りにくくなります。

「投機マネーなど入って来なくてもいい」という声もありそうですが、投機マネーが入らないと流動性が高まりませんし、将来的に読売333の指数先物を上場する際にも、支障をきたす恐れも生じてきます。

また、指数として定着するためには、取引高を増やすための知名度も必要です。

かつて「日本株30(愛称J30)」という株価指数があったことを、ご存じでしょうか。毎日新聞社が1998年11月19日から算出・公表していたのですが、先物は上場されず、知名度もほとんど上がりませんでした。結果、2005年1月22日の算出・公表を最後になくなってしまったのです。

それと同じ轍(てつ)を踏むとは言いませんが、すでに日本にはJPX総研と日本経済新聞社が、世界的にも非常に有名なインデックスを算出・公表しているため、「それだけあれば十分」と見られている感はあります。それだけに、読売333が知名度を上げ、多数のファンドのベンチマークとして使われるだけの余地があるのかどうか、ここに大きな課題があると思われます。