多数あるインデックスだが…そもそもなぜ算出されているのか
なぜ、このようなインデックスが各種、算出・公表されているのかというと、まず投資家がマーケット全体の方向性を把握するためです。
たとえばTOPIXは、市場区分の再編が行われる前、2022年4月時点では一部上場全銘柄を構成銘柄にしていました。その時の構成銘柄数は約2200銘柄でしたが、市場区分が見直されたことによって、2025年2月時点の構成銘柄は、プライム市場、ならびに新市場区分再編時の構成銘柄で、スタンダード市場やグロース市場を選択した銘柄のうち、政策保有株や流通株式時価総額が100億円未満の銘柄のウエートを段階的に低減し、1694銘柄に絞り込まれました。
なお、TOPIXはこれからさらに見直しが行われ、2028年7月からはプライム市場、スタンダード市場、グロース市場に上場されている全銘柄のうち、約1200銘柄で構成されることになりますが、いずれにしてもTOPIXは、東京証券取引所に上場されている全銘柄の動向を把握するという役目は変わりません。
次に、インデックスはベンチマークとしての役割を果たしています。
ベンチマークとは、他社や業界との比較で自社の弱み、強みを把握するために設けられる基準値です。運用の世界においては、ファンドのパフォーマンスの良しあしを測定するための基準値であり、そのベンチマークとして、各種インデックスが用いられています。
たとえばアクティブファンドは、その運用成績の優劣を判断するにあたり、各種インデックスをベンチマークに設定しています。仮にベンチマークが10%上昇したら、同期間でそれを超えるリターンを実現できないアクティブファンドは、それを保有する受益者から割高の信託報酬を払う価値がないと判断されますし、その運用担当者は「運用が下手」という烙印(らくいん)を押されて、運用担当を外されるケースもあります。
また、インデックスファンドにとっては、この手のインデックスが連動対象になりますし、どのインデックスに連動するかを商品名に入れる際に、インデックス・プロバイダーに対して、そのインデックスの使用料を支払う義務が生じてきます。逆に言うと、インデックス・プロバイダーは、自社が算出・公表しているインデックスを、ある運用会社がインデックスファンドとして組成、使用した時点で、使用料を得られ、それが主な収益になっています。