円高・株安で、S&P500やオール・カントリーは下落傾向

今年も1月に、新NISAの口座を通じて、S&P500とオール・カントリーのインデックスファンドに、大量に資金流入したようです。

この2大インデックスを代表する投資信託が、三菱UFJアセットマネジメントが設定・運用する「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」と「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」です。

実際、この両ファンドの資金純流入状況を計算すると、いかに大きなお金が流入しているか分かります。あくまでも私の概算によるものですが、数字を挙げてみましょう。

まず「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」の資金純流入額ですが、NISAの制度改正が行われる前、2023年12月の資金純流入額は約770億円でした。それがNISAの制度改正が行われた2024年1月には約2090億円、2月が約1780億円と推移し、しばらく1500億円前後で推移していたものの、8月は相場急落の影響もあって減額。再び月を追うごとに増額し、12月には2000億円を回復。

ちなみに資金純流入額は、追加設定による資金流入と、解約による資金流出の差引ですから、実際には資金純流入額を超えた金額が設定されているはずです。

次に「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」を見てみましょう。やはりNISAの制度改正が行われる前、2023年12月の資金純流入額は約1090億円でしたが、NISAの制度改正が行われた2024年1月には約3400億円に急増。その後はしばらく2000億円を少し割り込む程度で推移していたのが、年末に向け徐々に増加しました。

結果、3月17日時点の純資産総額は、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」が6兆4555億7900万円、「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」が5兆3846億2000万円になっています。

さて、このように順調に資金を集めている両ファンドですが、基準価額そのものは今年に入ってあまりさえません。「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」の基準価額は、1月24日に3万4368円まで上昇した後、3月17日には3万448円まで下落。「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」は、1月24日に2万8060円まで上昇した後、3月17日には2万5683円まで下落しています。

両者の上記期間中における下落率を計算すると、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」が▲11.4%、「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」が▲8.47%となります。「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」の下落率が、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」よりも低く抑えられているのは、ポートフォリオ全体に占める米国の比率が64%とはいえ、他の国々にも分散投資しているからと考えられます。

よく、「S&P500か、それともオール・カントリーか」で悩んでいる人も多いようですが、このようなデータを比較すると、価格変動リスクを多少なりとも抑えたいのであればオール・カントリー、ということになります。