不安な人こそ、冷静に「なぜ下落しているのか」の要因を見つめよう

ところで、今回の下落を見て、株式投資に対して不安を抱いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。こういう時に大事なのは、何が原因で基準価額が大きく下げたのかを分析してみることです。

三菱UFJアセットマネジメントのサイトから、両ファンドの月次レポートを見てみましょう。さまざまなデータが掲載されていますが、注目したいのは「基準価額の変動要因」です。

それによると、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」の基準価額は2025年2月中に2154円下落していますが、このうち株式要因は▲1096円で、為替要因が▲1056円となっています。

同様に、「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」の基準価額の変動要因を見ると、2月中に1313円下落したうち、株式要因は▲520円、為替要因は▲792円です。つまり半分前後が為替変動による損失であることが分かります。米ドル/円の推移を見ると、1月10日に1ドル=158円87銭というドル高値があった後、3月11日には1ドル=146円55銭までドル安が進みましたから、ドル安が運用成績の足を大きく引っ張ったということになります。

ちなみに「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」の基準価額下落率が小さく抑えられた原因のひとつは、投資先である国・地域が分散されていたため、ドル安の影響を受けにくかったという面もあります。

にわかに大きくなってきた!? インデックス反対派の声

また、これは余談ですが、最近、アクティブファンドを運用している運用会社の中に、インデックスファンドをまるで目の敵にしたように批判しているところがあります。

「インデックスファンドは組入銘柄が玉石混交だ」、「割高な米国株を6割以上も組み入れているオール・カントリーは危ない」といったようなことを言っているわけですが、その運用会社が設定・運用しているアクティブ型グローバルファンドの基準価額の下落率を、前出の2ファンドと同じ期間で測定すると、▲8.35%です。

「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」の▲8.47%に比べれば幾分、マシな成績ですが、驚くほどの差があるわけでもありません。短期間の比較なので、これが全てを物語るわけではありませんが、高い信託報酬を払ってまでアクティブファンドを選択する意味があるのかどうか、いささか疑問に思えてきます。