◆「インド株ファンド」への視点

インド株ファンドに対する人気が後退し、2月には、ついに代表的なアクティブファンドである「ダイワ・ダイナミック・インド株ファンド」しか売れ筋のトップ10に残らなかった。1月末に設定された「ダイワ・アンビット・インド小型株ファンド」は中長期投資を考えれば、非常に魅力的なインド株ファンドといえるのだろうが、さすがに足元のインド株市場の低迷で信用力が低い小型株は売られやすく、基準価額は2月末に8986円にまで下がった。設定来、基準価額が1万円を上回らないという動きでは、追加投資を呼び込むことは難しい。

また、昨年の半ばまでは、インドのインフラ関連株に投資する「HSBCインド・インフラ株式オープン」が人気上位銘柄だった。ただ、このファンドも含めてインド株全般は2024年7月を高値にして8月に急落。そして、年末まで横ばいとなり、2025年になって一段安になった。中でも、インフラ関連株ファンドは、2025年に入ってインド株インデックスよりも下落率が大きくなり、人気を保てなくなっている。

インドの「インフラ株」や「小型株」など特定のカテゴリーに絞った投資は、たとえば、インドで急務とされる産業インフラの整備に政府が注力しているとか、インドでの新興産業育成に注力する政府の姿勢を捉えた小型株の成長期待など、それぞれに理屈の通った魅力的な投資対象といえるが、ここで期待される「より高い成長」は「リスク」と同義語だ。それに対して「ダイワ・ダイナミック・インド株ファンド」は、インドの経済成長全体を捉えにいくという姿勢がある。特定のカテゴリーを決め打ちにするのではなく、インドの成長を広く取り入れようという姿勢が強いため、長期の目線で銘柄選定を行っているといえるだろう。

もちろん、アクティブファンドであるため、実質的な運用者であるSBI Funds Management(インド最大級の国営商業銀行であるインドステイト銀行=State Bank of Indiaとフランスのアムンディから出資を受ける現地の運用会社)の運用力がリスクにはなるが、特定の業種、規模等に限定されていないところに運用の柔軟性が期待される。実際に、2025年2月末時点で過去1年間のトータルリターンは「ダイワ・ダイナミック・インド株ファンド」はマイナス2.77%で「iFreeNEXT インド株インデックス」のマイナス3.95%よりも良い成績になっている。

インデックスファンドがマイナスの運用成績になる地域は、国内株ファンド同様に積極的な投資対象にはなりにくいが、将来の成長期待が高いのであれば、中長期的な目線で下落したタイミングにチャンスを見いだす投資家もいる。国内株のインデックスファンドが2月に人気化した背景には、「押し目買い」という発想が強かっただろう。インド株式ファンドについても、すでにインデックスファンドが昨年7月高値から3月7日時点で18.62%も下落した。「押し目買い」の機運が出てきても不思議ではない水準だろう。

執筆/ライター・記者 徳永 浩